About usBbsColumnDiaryE-mailFeature|Gallery|Hot-links|Information|Journal|

Topページに戻る

 「メラネシアで考える」のコラムを読む


’02年1月16日付 北海道建設新聞 
新春ひろば(5)で掲載されました。


「憧れや笑い事ですまされない家作り」
 小学三年の頃、隠れ小屋に憧(あこが)れた。特に木の上の隠れ家だ。高い位置にあるほどよい。夢を現実に変えたかった。悪童仲間と隠れ家作りに臨んだ。もちろん何の技術もない。結果は散々だった。木の枝と枝に渡した板切れ三枚ほどの床だけが完成。屋根、壁は夢のまた夢だった。
 二十世紀最後の年。ニューギニア島西半分にあたるインドネシア・イリアンジャヤ中部ジャングルに足を運んだ。木の上に住む民族がいると聞いたからだ。
 メラネシア系のコロアイ族。狩猟採取の民で、いまだに石器を多用し、木と竹を擦(こす)って火をおこす縄文時代のような暮らしを涜ける。
 木の上の家は5-10mの高さに作られている。高いものになると40を超す。
 いつから、どのような理由で木の上に住み始めたのかは定かでない。長老は高い木の上で暮らすことで外敵の襲来を防いでいたという。もちろんそれだけではない。高い所に住むことによって猛毒の蛇やマラリア蚊から身を守り、風通しが良くて過ごしやすいともいう。
 メラネシア世界全般に含えることだが、部族問紛争やヘッドハンティング・人肉食が近年まで続いた。
 ニューギニア島東半分のパブア・ニューギニアの山岳民族のフリ族も外敵から身を守る知恵を家作りに注いでいる。同じメラネシア系だ。現在でも部族問紛争が絶えることはない。
 家の敷地の周りに3m以上の深さのカラ掘か、それに匹敵する外壁を施す。初めて見たときは異様な作りに驚いた。「どうしてこのような造りをするのか」と聞き回った。同時に遺跡で見つかる環壕(かんごう)遺構にも似ていると思った。案外、考古学者の論は正しいのかもしれぬ、とのんきな事も考えた。
 ここでは実際に戦闘が起きており、敗れると土地一切は戦勝者に奪われる。
 二十一世柁の社会に何を馬鹿(ばか)げたことをと思われる読者もいるかもしれない。が、ここでは現実なのだ。笑い事では済まされない。
 家作りの知恵には想像を超えたた歴史と現実が潜んでいるものだ。